近代とは何か?
わたしたちにとって近代とは何か?
わたしたちとは誰か?
ここに、手紙と指示の入ったボトルがある。
そこには、西洋近代化とそれ以前の価値観をもう一度観察することについての指示が書いてある。そして実験を繰り返しながら、現代を生きていくための芸能を立ち上げて行くことが示される。
これは2014年にシンガポールのオンケンセン氏とセゾン文化財団の共同企画にて行われた「アーカイブボックス」プロジェクトの延長線上で立ち上がったプロジェクトである。そのプロジェクトがオンケンセン氏のディレクションにより、2015 Singapore International festival of artsのDance Marathon: OPEN WITH A PUNK SPIRIT!というプログラムの中で展開し上演が行われた。「アーカイブボックス」とは、ダンスを作るアーティストが、作品自体は物として残らないという現実にどう向き合うか?という問いを元に、他のアーティストがそこから着想を得たなんらかのダンス作品を制作するという想定で、自分の作品を手に取ることのできる何かにするという試みである。そこで日本のダンサー・振付家である手塚夏子は『私的解剖実験-6 〜虚像からの旅立ち〜』をアーカイブボックスに変換し、スリランカのVenuri Pereraは、その”ボトルに入った手紙と指示”を元に作品を作った。それが原点となって始まったFloating Bottle Projectでは、次にそのアーカイブボックスであるボトルを韓国のYeongRan Suhに手渡し、彼女が新たな作品を制作する。そして、手塚夏子、Venuri Perera、YeongRan Suhによる3つの作品の上演を皮切りに、多角的な視点から近代化を観察する、新たなダンス作品の共同制作へと歩を進めていく。